トランジスタ2個による非安定マルチバイブレータ発振回路を利用してDCDCダウンコンバータを構成し、80Vから5Vを作る回路を組んでみた。部品点数はそこそこ多くなるが、みな安価な部品でコストを抑えることができる。
特性を調べてみると、入力電圧が安定していれば出力電圧は安定している。ところが、入力電圧が変動すると、出力電圧が変動の瞬間振れてしまう。急激に変動すると振れ幅も大きくなる。追従性に少々難ありというところ。
これまで、μMPPTダウンコンバータに、タイマICを利用したDCDCコンバータでMosFETドライバ駆動用の12Vを作っていたのだが、しばらく動作させるとドライバICが壊れてしまうという現象に悩まされてきた。
まさに、その原因が、追従性にあることが確認できたわけだ。
μMPPTでは、MPPTを最適動作させるため、定期的にパネルの開放電圧を測定し、MPPTターゲット電圧を算出している。通常、パネルは発電しており天気の良い日は数Aの電流を出力している。しかし、開放電圧測定の瞬間は、電流を瞬断させてしまう。これにより、行き場のなくなった電荷がコンデンサに急激に蓄電され電圧の急激な上昇を引き起こし、それに高速に追従できないDCDCコンバータが出力電圧をオーバーロードさせ、ドライバICの定格電圧20Vを超え、ICの破壊につながったようだ。
それでは、どうすれば追従性をよくできるのか。
あまりスマートではないが、瞬間的なオーバーロードを回避させるためにツェナーダイオードを電流制限抵抗とともに入れてみた。これによって、オーバーロードはある程度抑制することができるようになった。
もう一つ、注意点が。高い電圧をこの回路に急に供給すると、スイッチングトランジスタが破壊されてしまう。そのため、入力部に突入電流を抑制するための抵抗が必要だ。あまり大きな抵抗では電圧降下による消費電力が大きくなるので、注意すること。
μMPPTの回路では、この電源で供給する電流は10~20mA程度と小さなものなので、100Ωでも電圧降下2V程度と小さく、問題はない。
しばらくはこの回路で実証してみよう。
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