タイマIC555を使い始めたついでに、かねてより作ろうと思っていた鉛蓄電池の復活装置を作り始めてみた。
ご存じの通り、自動車用のバッテリは、鉛蓄電池で重たい。
車検の時に『バッテリがそろそろへたってきたので取替えましょうね』と言われ、勧められるままに交換する方も多いと思う。概ね2年程度で寿命を迎えると言われている。
どうして寿命を迎えてしまうのか。充電しても、すぐに空になってしまう。つまりは蓄電容量が徐々に減ってしまうためである。携帯の電池もだんだん持ちが悪くなるのと一緒。
なぜ、容量が減るのか。鉛蓄電池は、化学反応を利用して充電と放電を繰り返す。充電するとできる物質が放電する時は別の物質に変化する。何度も充放電を繰返していると、その物質が電極である鉛の表面に析出してしまい、電極を覆う(充放電を邪魔する)ことによって、容量が減ったようになってしまうのだ。
表面を覆っている析出した物質を除去してやれば復活するのか?復活する。(らしい。まだ、実証してないので保証はしないが、先人によるとかなりの実績がある模様。)
興味のある方は、「サルフェーション除去」や「デサルフェータ」でググって調べてみましょう。
それでは、どうやって物質を除去するか。高速で高電圧のパルスをかけ続けるという方法が効果があるようだ。高速と言っても、数k~数十kHzという自作できるレベル。高圧とは、20~70Vのようだ。
色々な回路例がネットに転がっているが、私の場合は、当然、太陽光パネルで発電した電力の充電器を利用して実現することになるので、そんな回路例は存在しない。
そこで、先人の例を見習いながら、実験しつつ、設計したのがこの回路。概ね10kHzで25Vくらいのパルスが発生できる。発振周波数の調整と、パルス幅の調整で少々苦労し、その段階で、FETを3つも焼いてしまった。(泣
さらに、パルスの立上がり立ち下がりの切れをよくするため、プッシュプルの回路でMOSFETをドライブしている。これは、ここまでのパワコン開発のノウハウが活きた。
手持のインダクタ(コイル)で実験したが、少々オーバースペックなので、ノイズ除去用のインダクタは、パソコンの壊れたマザーボードからはずしたコアを再利用して、手巻してみた。写真の手前に転がっているやつ。
とりあえず、基本的な動作は確認できたので、次回は、ボードに組んでみようと思う。これで、へたったバッテリが復活するのであれば、たいへんなエコになる。5年くらい前に自分で交換して車庫にほったらかしてあったバッテリが、LED照明の電源に使えるようになれば、めっけもの。さあ、どうなることやら。。。。
ちなみにこの技術の元祖は以下のサイトとのこと。
Lead Acid Battery Desulfator
(プロ) ACデルコのパルス充電機能付きの充電器を使っています。同社はGMの一部門で、バッテリも取り扱っていますので、パルス充電の概念自体は効果はあるのではないかと信じています。充電の様子を見ていると、時々電圧の供給を停止し、負荷をかけ(充電器側で電流を消費して)その時の電圧変化から、その後の制御を決めているようです。このあたり、ノウハウがありそうです。
(私) おおぉ~。。。師匠からの久しぶりのコメントだ。なるほど。放電時の電圧変化でSOCやヘタリ具合が予測出来るのですね。確かに充電後コードを外すとバッテリの電圧が少し下がりますので、それを積極的に行って状態把握するのですね。充電制御ロジックの設計に参考とさせていただきます!
ここから始まったものが2017年4月には商品化して販売開始するに至った。経緯はこちらで紹介しているので、興味のある方は参照のこと。