3D CADで図面を作成し、CNCフライスで加工する場合、加工位置を正確に定めるために原点位置を定めなければならない。一般に加工物の左下角などがそれにあたる。加工を始める際には、そこにスピンドルの回転軸の中心を正確に合わせなければならない。
しかし、真上から見ながらX軸Y軸を合わせることは不可能。なぜならそこにはスピンドルモータが鎮座しているわけでして・・・・これは、意外と難しいぞ。せっかくCNCフライスでコンピュータ制御だから0.1mm単位の正確な加工ができると思っても、そもそも原点をそんなに正確に合わせられなければ精度が上がるわけがない。
そこで、先人のトライアルなどをGoogle先生に聞いてみると「マーティーの工房日誌」 にいろいろな方法が紹介されている。カメラをスピンドル近傍に固定してその画像の中心とスピンドルの相対位置を正確に測定し、それをオフセットとして利用すれば原点に正確にミルの中央を移動することができるということ。なーるほど。その方法を採用させていただくことにしよう。
さっそく利用できそうなUSBマイクロスコープを検索。原点出しをするだけだからそれほどの解像度や画質は必要ないので安価なものでもよいだろう。とってもお安いこんなものを選択してみた。それにしても、USBマイクロスコープでLEDライトも付いていて\588っていったいどんな価格よ。対応OSがWin2k,Xp,Vista,7と古いことにも不安がよぎるが、この価格ならば失敗しても痛手は少ない。ぽちっとな。
2週間ほどして届きました。CDにドライバなども含まれていると思われるが、とりあえずWin10のマシンのUSBポートに接続。なんか自動的にドライバがインストールされたぞ。OS付属のカメラアプリを起動すると、おおぉ~~~!映っとる!使える使える。こりゃいい!
マーティ様はCNCフライスで部材を切り出し固定冶具を作成しておられるが、手元に3Dプリンタがあるので、それで作ってみよう。ちょっと複雑になるが、モデリングの練習と思い試行錯誤の末このようなものを半日がかりで作成してみた。
左側の筒にカメラの本体をセットし上下のタブでZ軸ステイを挟み込む構造。Z軸ガイド軸の穴にぱっちりと入ればスナップインで固定されるはず。ガタが生じないように計測は正確に行ったが、果たしてプリントした結果の精度がどうなるか。
カメラをセットすると、筒の穴が少々ゆがみそのままでは入らず。やすりで少し削ることで挿入。
Z軸ステイにはめてみると、なかなかGood!ガタもなくジャストイン。カメラはこんな感じで、6LEDの明るさは、USBコネクタ部分のボリュームで調整可能。
パソコンにはこのカメラ映像としてスマホで撮影しているところが映っているのだけど角度の関係で鮮明ではない。カメラアプリでガイドに十字マーカを表示すると、中心の位置を正確に定めることができる。
実際に、オフセットを測定してみると、X軸39.0mm、Y軸1.2mmとなった。当初の目的は達成できそうだ。めでたしめでたし。