コイルを理解する(5)

いよいよコイルの特性の本質に迫ります。

コイルに電流を流したときに流れる電流と時間の関係を解析してみましょう。

コイルの両端に電圧をかけると、コイルに電流が流れはじめます。コイルは、変化を嫌う素子。これまでの状態から何か変化を起こそうとすると、それにあらがうように動作する。そのため、電流が流れていない状態から急に電流を流そうとすると、一気に流すことはせず、徐々に電流を増加させる。その様子は、かける電圧、インダクタンス、コイルの内部抵抗、そして時間というパラメータから表される。

コイルの電流と時間の関係01 ファイルはこちら

Excelで、このようなシミュレーションシートを作ってみた。黄色い網掛けの部分に条件を設定すると、電流と時間の関係がグラフ表示されるというもの。時間をかければ、流れる電流は最終的には 「コイルにかけるかける電圧」/「コイルの内部抵抗」 に近づくこととなる。

上記の図では、200uH/800mAのコイルを使ってスイッチング電源を構成した場合の様子。スイッチを閉じると、直線的に電流は増加をはじめる。流れる電流値を見ると、50usで2.5Aも流れてしまう。ところが、このコイルは800mAしか流すことができない。2.5Aも流しては、破壊されてしまいかねない。そうなることを避けるには、15us以内にスイッチを開かなければならない。

スイッチを開いたあとはどうなるか。たまった電流は、今度は負荷側に流れる。負荷が大き(抵抗が小さい)ければ、電流を瞬間的に吸い込むので、コイルにたまった電流は15us程度で全て排出される。ところが、負荷が小さければ、電流があまり流れず、コイル無いに電流が残ってしまう。残ったまま再びスイッチが閉じると、追加で電流が供給される。これを繰り返すと、そのうちにコイルの制限電流を超えてしまう状況に陥ってしまう。

ここで、難しいのは、負荷としてバッテリーのようなものを考えると、充電初期には電流を大量に吸い込むが、満タンになってくると吸い込まなくなる。つまり、負荷が変化すると言うこと。電力供給側の回路は一定であるにもかかわらず、負荷が変化する。変化する負荷に合わせて安全に制御する必要が生じる訳である。

なかなかに奥が深い。次回は、上記を解決する手段など。

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