今回は、力率のお話し。
交流電力を表す式 P=IVcosθ ここで言う「cosθ」が力率だ。そもそも、力率ってなんぞや。使った電圧や電流が、どれだけ有効に作用しているかという概念と考えればよい。
例えば、四角い箱を押すとき、押したい方向に向かって正面から押せば動かすことが出来るが、押したい方向に対して真横90°から押したら、押したい方向には動かず、90°違った方向に動いてしまう。あたりまえだ。力を加えるときに、まっすぐ正面から力を加えれば効率よく伝えることが出来るが、斜めや真横からでは、効率的に伝えられない。電気の世界で、この効率のことを力率という。
交流では、電圧も電流もプラスマイナスを周期的に繰り返している。このプラスとマイナスになるタイミングが、電圧と電流が一致しているときに一番力を発揮できるが、タイミングがずれてくると効率が悪くなってくる。そして、電圧と電流が90°ぞれると、効率は0になってしまう。
教科書には、複素空間とベクトルで説明されているが、複素数・・・と聞いただけで、もう頭が受け付けなってしまう方が多いと思う。これは、単に直交空間を複素空間として表しているだけであり、上記のようにものを押す場合の効率として理解すれば、直感的にもそれほど難しいことではない。賢い人がきっと説明しやすいと思って複素空間なんてものを持ちだしたから、一般人には取っつきにくいものとなってしまったと思われる。もっと、生活の中での経験で理解できるように電気の世界を説明することが必要と思う。
と、ずいぶん横道にそれてしまったが、力率とは電圧と電流の正負に変わるタイミングと理解し、そのタイミングがみごとに一致しているときには同位相、ずれているときには、ずれの大きさを位相差として表すと、何かと理解しやすいのだ。
位相差とは、紐につるした玉が二つ有り、それぞれ紐の固定点を中心にくるくる回っているとする。玉が常に同じ向き、例えば、一つの玉が時計の12時の位置にあるときは、もう一つも12時の位置にあるのを同位相という。一つが12時の時に3時の位置にあるのは90°ずれている。また、9時の位置にあるのも90°ずれている。ずれが、前か後ろかで、進んでいるのか遅れているのかという違いがある。
交流電力の場合、電流を流す『もの』によって、進んだり遅れたりすることが決まっている。ここでいう『もの』とは、電気部品レベルのこと。ものには、抵抗、コイル、コンデンサという3種類ある。これしかない。ICやトランジスタや、部品の種類は多いが、全ては抵抗、コイル、コンデンサに分解できると考えればよい。(かなりいい加減だが、概念的にこう理解すると分かり易い)
で、電圧の進み方(位相)は、これらのものの違いで変化しないが、電流は大きく変化する。抵抗については変化無しだが、コイルと通るときには90°遅れ、コンデンサを通るときには逆に90°進む。家電製品の部品には、いろいろなものが使われている。それぞれを構成する抵抗、コイル、コンデンサの合成されたものが製品の電気的特性を決めている。その結果、家電機器を使うと電流が遅れたり進んだりして、結果として力率が悪くなり、効率が落ちてしまうこととなる。
ということで、今日は、力率と位相差などについてでした。
なんか、説明しようとすると、もっと簡単に分かり易く・・・と思い始めて、なかなか先に進めなくなってしまいましたが、少し時間をかけながら少しずつ解説していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
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