コイルは、電流を流そうとすると流すまいとふるまい、流れている電流を止めようとすると流し続けようとする。あまのじゃくな性格を持っている。
DC/DCコンバータを作る際には、コイルのインダクタンスをいくつぐらいに設定すればよいか、意外と難しい。適当に大きめのインダクタンスのもので・・・と考えていたのだが、どうも、大きすぎるとまずい場合もあるらしい。
コイルの性質を理解するうえで、一つのモデルを作成し、その場合のコイルの挙動を考えてみた。
左の回路でスイッチを閉じてからコイルに流れる電流を計算したものである。最終的にはコイルが単なる導体として 20V=4Ω×5A というオームの法則に従う電流になるのだが、それまでの過渡応答がわかる。これは、図中に示した計算式で算出できる。
回路中の抵抗は、コイルの内部抵抗と考えると、コイルの動作がよりよく理解できるはず。コイルは導体をぐるぐる巻きにしたものなので、導体の長さに比例した抵抗値となり、一般には非常に小さい。私が実験に利用しているものは200μHで55mΩ(0.055Ω)と非常に小さなものだ。
DC/DCコンバータでは、スイッチを10kHなどという高速でON/OFFを繰り返す。ONになった瞬間に電流値が増加始める。一方、OFFになると、逆に、急激に減少を始める。ONしている間にコイルの耐電流値を超えるようなことがあってはコイルが壊れてしまうので、ONの時間はきちんと管理されなければならない。
上記のグラフをExcelシートで作成したので、電源電圧、コイルのインダクタンスと抵抗というパラメータでグラフがどのように変化するか見ると、コイルの素性が見えてくるはずだ。
なんか、コイルを理解するきっかけがわかってきた気がするぞ。