DCDCコン開発の備忘録
本番機に近付いて来たので、長時間にわたり鉛蓄電池の充電を行ったところ、定電流モードから定電圧モードに切り替わってしばらくする と、PWMの幅が定期的に広がったり狭まったりを繰り返す発振状態が発現した。
MOSFETと言う半導体スイッチを利用しているため、機械的な接点が無いにも関わらず、低速でスイッチ動作するときにはカチカチと音がするのは新しい発見である。
だいたいにおいて、発振現象は厄介な状況を示唆するので、あ~、、、 またかよ~と、落胆しつつも、腰を落ち着けて解析に取り掛かること に。。。
先ずは、オシロでPWMの様子をみると、0~40%の間で拡大と縮小を繰り返している。今まで似たような現象の際には、100%まで拡大して0% に戻るという現象だったので明らかに異なっている。徐々に広がり、 徐々に狭まるということは、異常回避のために強制的にPWMを停止させているわけではなく、正常な制御として発現した現象である。
ますます厄介だなぁ…
PWM制御には、出力電圧、出力電流をAD変換して取得し利用している。とりあえずは、それらの機構は正常に動作していることとして、基となる出力電圧をオシロで確認してみた。PWM幅が変化しているので、それに応じて電圧も変動している。特におかしいところはない。
波形の動きを目を凝らしてみていると…おおっ?PWM幅の変動と電圧変動の位相がずれてないか?横軸のタイムスケールを伸ばしてより詳細を確認。
確かに位相が180°ほどずれていることが確認できた。つまり、電圧を上げるためにPWMの幅を拡大していくのだが、電圧は直ぐに上がらず、その間に幅はもっと広がり、ようやく電圧が上がったときには幅は広がり過ぎており、電圧がターゲットより上がりすぎるので、今度は幅を狭めるものの、やはり電圧が下がるまでに時間がかかるため、その間に幅がせばまり過ぎてしまうという状態が繰り返されていると理解できた。
つまり、PWMの幅の変更が出力に現れるまでに遅延があるということ。
これまでは、定電圧モードでもこのような症状は出ていなかった。それはなぜか?
今までは、長時間充電することがなかった為、蓄電池が満充電になることがなかった。充電するとある程度の電流を吸い込むので電圧変動は即座に現れていた。それに対し、今回は長時間充電をした為、満充電に近くな り、電流を吸い込まなくなり、電圧変動までの時定数が長くなった。と考えられるのでないか。
それでは、解決策はどうするか?
安易に考えつくのは、制御サイクルを遅くするというもの。現在は約 8ms周期でPWM制御を実施している。そこで、制御サイクルを500ms に延ばしてみると発振が抑制できる事が確認できた。大丈夫そうだ。
しかし、満充電以外の時には、制御が遅くなるという弊害が生じ、緊急時の対応が遅れてしまう。特に、電流が過大に流れた場合はヒューズ断裂や素子破壊に直結する恐れもあり、単純に制御サイクルを伸ばせば良いと言う訳には行かない。なかなかに悩ましいところ。
理想的なのは、定電圧モードで電流がある一定以下になったら、制御サイクルを延ばすという方法だろう。しかし、本番機として組んだ基板では、素子の配置や配線を実験環境から大きく変えた為、電源ラインのノイズが完全に除去できておらず、測定値がまだ暴れるという状況。そこで、暫定対処として、定電圧モードの時のみ制御サイクルを500msに延ばし、それ以外の時は8ms周期で制御することとした。
プログラムに組み込んで想定した制御が行われることを確認したところで、日没サスペンテッドと相成りました。続きはまたの週末に…
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