最近は基板が安価に作れるようになったので、ちょっと手の込んだ基板になるとすぐに基板を作るようになった。それはそれで便利なのだが、基板作成は基板の大きさに応じて価格が上がる。あたりまえだが。。。
できるだけコンパクトな基板にして複数枚パネライズして発注することで、複数基板をとても安価に作ることができる。そのためには、個々の基板をコンパクトに設計しなければならない。コンパクトにする最も有効は手段は小さな部品を利用することだ。あたりまえだが。。。。
で、結果として表面実装部品を多用するようになる。1mmほどの部品を取り扱うのは気を使うが、部品サイズが小さいということは保管スペースも少なくて済むということで、良いことづくめ。
できた基板に部品を実装するのに、これまではヘッドルーペを付けて手はんだで行ってきた。それはそれで、慣れてくると、チョチョイと容易に扱える。はんだ付けのスキルも見違えるように上達したと、自分的には思う今日この頃。
ところで、最近開発している装置は、単発ではなく、複数台試作して評価を行う場面が多い。ものによっては、10台、20台と多数を作らなければならない場面が多くなってきた。そうすると、同じ基板を手はんだでちまちま作っているとさすがにしんどい。
これまでも、検討を重ねてきたのだが、ついに自宅リフローに挑戦する決断をした。
リフローとは、表面実装部品を基板にはんだ付けする方法だ。はんだの粉末とフラックスを混ぜたペースト状のはんだを部品をはんだ付けするランドに塗っておき、その上に部品を置き、リフロー釜ではんだを溶かして一気にはんだ付けするという方法だ。
リフロー釜は、業務で利用しているものは完全工程管理された超高価で個人が手を出せるようなものではない。しかし、DIY派の間では、オーブントースターやホットプレートを転用した方法がほぼ確立されている。
先日、娘の引越しにともなう家具の買い出しに付き合った際、250度まで温度管理できるコンパクトなホットプレートが2048円という格安で特売されていたので、衝動買いしてしまった。
元々の温度管理ダイヤルで実際の温度を測定してみると、160℃に設定しているときでも、30度ほどオーバーシュートしてから安定することが判明。リフロー時には、10度程度以内の精度で温度管理をしなければならず、これでは少々不安だ。部品を痛めては元も子もない。
こいつを利用してリフロー釜を作ることに。
Arduinoを利用したリフロー釜開発を公開している方がおられる。参考にさせていただいた。感謝!
Arduinoを利用して手軽に作っても良いのだが、Arduino用の電源をACアダプタでというのは、コンセントが複数必要になるので作業場所の関係から改善したい。そもそもホットプレー度の電源管理なのだからAC電源からDC電源を取れればよいのだし。などなど、諸々の検討を重ねた結果、いつものPICで自作することに決定。
さすがに、これをたくさん作るつもりはないので、回路設計後は、ユニバーサル基板に部品を手はんだで作成。久しぶりにユニバーサル基板を使うと、部品の配置を最適化するのに頭を悩ますことになる。特に、AC100V/10Aもの電源管理をするとなると、かなりの気を使う。それでも、1日がかりで基板が完成。
釜の内部の温度を熱電対で測定してAC電源ラインの接続、切断をマイコンで制御する仕組みだ。
とりあえずは、マイコンが正常に動作しているところまで完成。
回路図を公開します。PIC12F1822の足を余さずすべて使ってるので、付けたかったブザーがありません。回路図上は、基板作成途上でいくつかの修正をした関係で、オペアンプの左右がミラー対称になってることが注意点。ピン番号を確認してください。
オペアンプの倍率を決定する抵抗は200kと2kですが、PICのADコンバータでの値をうまく計算するために98.28倍に近い値となる抵抗を抽出したので細かい値のものとなっています。できるだけ精度を高めたかったので、こんなことしてますが、それがどれだけ制度に貢献するのやら。。。。実際に測定してみて検証しましょう。
左側の電源回路はFSD210BというDCDCコンバータを利用して12V/100mAの電源を作る回路で応用がききます。ただし、非絶縁なので利用する際にはご注意を。私は、NexPower社太陽光パネルのダウンコンバータ用電源として利用しようとしましたが、入力電圧が揺れると出力が揺れてしまい、なぜか入力電圧が低下すると出力が上昇する現象に悩まされ、採用は見送った経緯があります。AC電源を入力にする場合は、安定しているのでそのようなことはありませんからご安心を。
秋月電子で入手可能なもので作ってありますので、自作派の方なら作成可能でしょう。PICのプログラムがないと、意味はないのですが、うまくできたらPICプログラムを公開しましょう。
さて、引き続き、温度測定の精度調整に進むとしよう。