これまでは、DCDCコンバータの開発を中心に紹介してきた。ここに来て、太陽光パネル用、鉛バッテリ充放電用に加え、鉛バッテリの寿命延長のためのデサルフェータが完成し、直流給電に給電する側の部材が揃ってきた。
そこで、これからは、消費する側の部材を揃えることが中心となる。消費側は、供給側と連係して動作することで、安定した運用が可能になる。
このシリーズでは、消費側の開発に加え、供給側と消費側の連携や、既存の部材の改良点等を検討した結果を紹介していこうと思う。
先ずは、私が目指す自立系直流給電システムについて紹介しておく。
これが、現時点の直流給電システム概要だ。開発の目標としては、小規模から中規模まで、容易に拡張出来ることを最大限の特徴とする。東日本大震災以降、オフグリッドに興味を持つ方々が増え、自分で太陽光パネルと鉛バッテリを繋げて給電システムを構成している人たちも珍しくなくなった。そのようなシステムは、バッテリの12Vや2直にした24Vで運用している方がほとんどのようだ。手に入る直流負荷機器が12Vや24V仕様のものが大半である状況では妥当なものだろう。
一方、北陸先端大の丹先生が中心となり、NTTグループや主要メーカが多く参加しホーム環境の直流給電について検討している「宅内直流給電アライアンス」(http://ggpah.org/)では、より本格的な標準化などを目指して活動をしている。そこでは、利用電圧は、高圧系の380Vと低圧系の48Vを候補としている。これまでに、NTTのアナログ電話では48Vが利用されてきており、データセンタなどでは380Vが利用されていることを考えれば妥当なものだ。
それらの状況を鑑み、私の開発する直流給電は、スタートとしては48Vを利用することとした。12V、24Vでは、自宅内の20~30m配線で無視できないレベルの電圧降下が生じ、電流の制限が厳しくなってしまうからだ。
しかし、48V系の負荷機器はほぼ皆無と言って良いほど日本国内には存在していない。自分で作るか、もしくは負荷側で利用直前に12V、24Vに変換して利用するかとなる。それらについては、走りながら考えていくこととして、まずは、供給側を開発してきた。
これから、このシリーズで、直流給電システム開発の取組みについて紹介していこうと思うので、ご興味のある方は、ぜひ、コメントなど寄せて頂けるとありがたい。よろしくお願い致します。