かれこれ1年近くも前になってしまうが、知人より2Vの単セル鉛バッテリの有効活用方法としてスマホ充電器の作成検討を依頼された。ただ、商売ではないので、あまりプライオリティは高くせずともよいという言葉に甘え、一次試作後、他のもろもろの開発案件を優先しており、こちらの開発はストップしてしまっていた。
一次試作の詳細については、こちらを参照のこと。
そもそも、2Vのバッテリがたくさんある。これをうまく活用することはできないかというのが検討の出発点。小振りの太陽光パネルの発電をこの電池に貯め、たまった電気でスマホを充電するようなシステムを作れば、災害時などに役に立つだろうという発想。通常時でも、スマホは毎日充電しなければならないので、太陽光パネルを表に出しておくだけで自然と電池に充電されるので、極めてエコなシステムができるという発想。そして、既に太陽光パネルの発電を蓄電池に貯める部分はできている。これに、スマホ充電器を繋げれば運用可能になると言うことだ。
2Vのバッテリと言っても重さは15kgもあり、容量は200Ahと十分なものだ。
一次試作を終えた後も、ずっと気にはなっており、先日、バッテリ延命復活器の二次試作用基板を作成するに当たり、スマホ充電器の二次試作基板もパネライズして作成しておいたのだ。バッテリ延命復活器が完成したこの機に、気合を入れてスマホ充電器についても完成させておこうと思い、二次試作を本格的に開始した。
まずは基板。パネライズして作成したのをカットしたもの。11枚あるが、とりあえずは2枚を二次試作する。部品はいつものように背の低いチップ部品からヘッドルーペをかけて精密ピンセットでつまんではんだ付け。1608チップ(1.6×0.8mmサイズ)は慣れてお手の物。が、一瞬気を抜いてピンセットから落としてしまうのは如何ともしがたく。一度落とすと、ほぼ発見は不可能。慎重に扱わなければならない。爪先のR15文字の上に付いているのが1608の抵抗だ。
完成後に確認するのは結構骨が折れるので、はんだ付けをしながら回路図をチェックし、周囲にはんだブリッジしないか、細心の注意を行いながら実施。こうすることで、基本的ミスを最小限に抑えられることは経験済み。2枚の基板に部品をはんだ付けするのに概ね1日作業。チップ部品が多いので、気を使うし、目も疲れるが、何とか完成。
2枚作成するに当たり、2種類のインダクタ(コイル)を試してみることに。単に、同じのが2個なかっただけだが。。。200μHのコイルが手元に2種類ある。一応5Aものと9Aもの。
秋月電子 TCV-201K-9A-8026 200μH
マルツパーツ NECトーキン 【SN12-500】SNコイル 100μH
コイルコアの色が黄色(秋月)と緑(マルツ)。コア材によって透磁率が異なり、色分けされている。コイルについては、別途まとめたいと思う。(「コイルを理解する」シリーズ)
秋月のインダクタは、9Aとなっているが、見てくれからはとても9Aも流せるとは思えない。大きさ、銅線の太さから5Aがいいところだろう。それぞれ、Lメータで測定してみると、概ね仕様通りということがわかる。これが、今回開発するDCDCアップコンバータのキーデバイスになる部品だ。
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