実験回路で概ね動作は確認しているのだが、実際に基板に載せると微妙に動作が変化するのが常。オフグリッド用にバッテリに接続し、充電時の電圧、放電時の電圧で、想定どおりに動くか検証をする。
パルスの波形とその時の流れる電流値を確認。
下のグラフがゲートパルス、なかなか美しい矩形波だ。横軸スケールが2μsなので、パルス幅は8μs。
上のグラフは7mΩシャント抵抗での電圧降下。縦軸スケールが10mVなので、7mV~16mV程度の電圧降下。つまりは、1~2.3A程度が流れていると言うこと。
と、実は、これは、インダクタを調整した結果のものであり、この状態に落ちつくまでは、ほとんどカットアンドトライの世界。電源入力側のノイズ除去のためのインダクタは、最初はそれほど電流が流れないことを想定しアキシャルリードタイプだったのだが、発熱が大きく、隣のコンデンサにも悪影響を与えそうなため、内部抵抗が小さく、インダクタンスの少し小さいものに交換した。
パルスを生成させるためのインダクタンスは、そこそこ電流が流せなければならないが、パルスで持続時間も数μs程度であれば、表面実装タイプでも大丈夫だろうと予測したが、これまた結構発熱をすることが確認された。とりあえずは、動作させる上ではインダクタンスの値と流れる電流との関係を確認し、渇入れ電流を多く流すことを優先してインダクタンスを選定した。
部品の定数設定が固まったので、次は長時間安定的に動作することを確認するために、実際のバッテリに接続したまま様子を観察することとした。バッテリは、自宅の門灯のLEDに電力を供給するもので、日中は太陽光発電から充電させるというもの。充電中には高速パルスで、放電中には低速パルスでサルフェーションの除去をし続けるもの。バッテリの放電が進み電圧がある一定以下になったらスリープさせるという動作が正常に機能することを確認する。
結果として、2台の試作機を2週間ずつ、1ヶ月ほどエージング試験して問題ないことを確認した。ただ、ケースのインダクタが触れる部分に熱でわずかな変形が確認されたため、次の試作ではもう少し内部抵抗が小さく電流を流せるインダクタに変更することとした。