PIC版シャッターテスタ (2) フォトトランジスタドライブ回路

意外とレスポンスの悪いフォトトランジスタを本来の性能を出させるための回路を検討してみた。

検討したのはカレントミラー回路とトランジスタ一段増幅回路。カレントミラー回路は、フォトカプラの高速化のために使われるようだ

カレントミラー回路とは、トランジスタ2個を背中合せに接続し、同一電流を流す回路で広く使われている。ただし、出力の正負が逆転するので、波形は逆転することに注意が必要だ。

試してみると、抵抗値と光量に相関があることが分かる。光量が足りないときに抵抗値が小さいと、レスポンスは良くなるのだが、電流不足で出力端子が十分に下がらない。抵抗値をいろいろ変えて5kΩが最適ではないかという結論にいたる。その際の波形は以下の通り。

s-RIMG0007 s-RIMG0008

黄色がInput、青がOutput、波形が逆転している。立上り遅延(Inputが変化してからOutputが変化を始める)時間Tpdは約3us、立下リ時間Tfは3.76us(オシロの測定値)。一方、立下リ遅延(Inputが変化してからOutputが変化を始める)時間Tndは約0.5us、立上がり時間Trは4.22usだ。抵抗だけのスイッチよりは、随分と早いことが確認された。それでは、これで、回路を組むか。。。。。

でも、フォトトランジスタ1個に付トランジスタ2個を使うと、合計6個のトランジスタを並べなければならない。意外と場所を食うしコストも上がる。もっと良い回路はないのか。

カレントミラーでは、フォトトランジスタの電流をトランジスタのベースとコレクタ両方に流す。フォトカプラであれば、外部から電流を引き込むので20~30mAは容易に使えるが、フォトトランジスタは光量によって10uA~最大でも10mAまでしか流せない。これで、トランジスタ2個をドライブをするのは、あまり得策ではないのではないか。特に、低い光量でも反応するようにするには、uAオーダーの電流でドライブしなければならない。

そこで、一石トランジスタ増幅回路ではどうだろうと試してみることに。フォトトランジスタの出力をトランジスタのベースに接続し、電流が流れないときにはグランド電位にするために、プルダウン抵抗でグランドに接続。トランジスタのコレクタをDC3.3Vから抵抗を介して接続。エミッタはグランドに。コレクタから出力信号を出す。ベースの抵抗を大きめにすれば、そちらで消費される電流は抑制できるので、フォトトランジスタの微弱電流でも何とかドライブできるのではないか。さっそく実験。

s-RIMG0002 s-RIMG0001

おお~~~~! 遅延はカレントミラー回路よりも大きいが、立上り、下リの切れはかなり向上しているぞ。(レンジが2usだけど)

立上り遅延時間Tpdは約10us、立下リ時間Tfは1.4us(オシロの測定値)。一方、立下 リ遅延時間Tndは約7us、立上がり時間Trは3.08usだ。

遅延は、トランジスタを1段介しているためなのか。立上りで10us、立下リで7usだと、トータル3us短くなると言うことか。PIC12F1822で内部32MHzクロックでは、最小単位8usなので、誤差の範囲と言えよう。シャッター速度パルス長はそこそこ正しく測定できそうだ。回路としては、この一石トランジスタ増幅回路を採用することにしよう。

以上をまとめると、以下のようになる。

PhototraDriver

フォトトランジスタのドライブ回路の高速化という課題が、先ずは解決。

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