PV用DCDCコンバータ開発(94) 充電用DCDCコンバータの不具合改修

不具合が起きるときには、立て続けて起きるもので、うんざりこんなんだが。。。。。

PV用DCDCコンバータがようやく完成し、常時運転に入る準備を進めている。太陽光パネルは日中しか発電しないので、夜間のために鉛蓄電池を連携させる。直流給電は主に自宅の照明系に利用する計画のため、日中はそれほど電力は使わないので、太陽光発電は夜間のための蓄電池への充電がメインとなる。そのため、蓄電池充電用DCDCコンバータをきちんと作らなければならない。

ハード的にはPV用DCDCコンバータとほぼ同じもの。DCバス48Vを入力し、出力に蓄電池の充電電圧を出すもの。蓄電池は、車を引退した通常の車用蓄電池と、ボート用のディープサイクル蓄電池2直が準備してある。これらに充電するために、出力12Vと24Vの2つのDCDCコンバータを作っている。

2台の動作を確認していると、1台に変な現象が発生。とりあえず、それは置いておいて、正常に動いたもう1台で蓄電池充電用のプログラムを開発してきた。概ね完成してきたので、不具合の出ているDCDCコンバータの改修に取りかかった。

まず、電源まわりを確認。入力から、スイッチングFETのゲートドライブ用の12V電源回路を確認すると、出力がスイングしている。おやおや。。。。12V作成回路の出力をそれ以降の回路と切り離して出力の確認をしたところ、どうも安定していないことを発見。ここが臭いなぁ。。。こんな場合は、正しく動いているものと比較検証するのが常道だが、こういうときにうまく動いているものをいじると、そっちまでおかしくなることが良くある。。。。それだけは避けたい。

ということで、検証のために、12V作成回路をもう一つ新たに作成して動作を確認することに。

新しく作成した回路の検証をすると、単体で動かしても、出力が安定しない場合がある。この回路は、確か、ある程度の電流を流さなければ、安定しないものだったはず。出力に1.5kΩの抵抗をはさむと安定して12.1Vが出力されるようになる。まずは、新しいものが正しく動くところまで来て、第一段階。

と、まてよ。ということは、元々の回路も正しく動いていたかも。。。が、とりあえず、新しいものに付け替えて検証を続けるとこにしよう。

付け替えて、出力を確認すると・・・・ガ~~~~ン。最初と変わらず。やはり、ここではなかったか。ま、予備用の回路ができたと言うことで、良しとしよう。

次に、12V出力に接続された回路について検証を進める。

12VからPICマイコン用の5Vを作成している回路。超低消費電力型三端子レギュレータを利用している。端子間の抵抗はそこそこ大きいので、壊れてなさそうなのだが、一つ一つ確認せねばなるまい。丁寧にパタンを傷つけないようにスルーホールのはんだを吸い取って、三端子レギュレータをはずした。はずして、単体の動作を確認。9V電池の入力を入れてみると、正しく5Vが出力されることを確認。これが原因ではなさそうだ。はずした方の基板の様子を確認すると、12Vの電源が、まだ不安定にスイングしている。やれやれ。

次に、12Vに繋がっているのは、FETゲートドライブICと、チャージするためのダイオード。ICは8本足、ダイオードは2本足と言うことで、とりあえず、取り外しやすいダイオードをはずして確認すると、症状変わらず。ダイオードも正常。

仕方ないので、8本足のはんだを丁寧に吸い取ってICをはずして確認することに。

電源を入れてみると、FETが発熱。これはドライブICをはずしたら、FETのゲートが浮いてしまうためだ。よって、FETのゲートを直接GNDに接続してもう一度確認。それでも、FETが発熱。これは、明らかにおかしい。犯人はアップサイドのFETのようだ。

FETを取り外して確認すると、ようやく12V電源電圧が安定した。

ということは、苦労してはずした三端子レギュレータ、ダイオード、FETゲートドライブICは真犯人ではないと言うことらしい。もう一度、それらの部品を取りつけ(ダイオードは新しいものに交換)、アップサイドのFETだけはずした状態で動作を確認。12V電源電圧正常、5V電圧正常。

最後に、本当にFETが原因であることを確認するため、新しいFETを仮止めで接続し、電源を確認すると、12V、5Vとも、正常。更に、取り外したFETを仮止めして確認すると、12V電源スイング、FET発熱の症状が現れ、やはりこのFETの故障が原因による不具合と言うことが確定した。

不具合の発生したFETを確認すると、端子間はショートしていない。今までのFETの故障は、端子間がショートするものばかりだったので、今回の不具合の原因としてFETになかなかたどり着けなかった。故障の原因によっては、FETの端子間ショートばかりではない不具合が発生する場合もあることを記憶しておこう。

これは最初から正常に動作したDCDCダウンコンバータ3号機基板。左の小さな基板は不具合の発生した4号基板から取り外した12V生成回路。上の3本足ヒートシンク付の部品は、今回の不具合の原因となったNchMosFET(IRF3710)。

s-RIMG0002

こちらは不具合が発生したため、12V生成基板を新しいものに交換し、FETも新しいものに入れ替え、正常に動作するようになって試験中の4号DCDCダウンコンバータ基板。

s-RIMG0004

動作を確認するために、ゲートドライブに入力するゲート信号(黄色)と、充電電流(青色)を確認しているオシロ画面。

s-RIMG0006

これで、ひとまずは蓄電池充電用DCDCコンバータが準備できたので、ようやく直流分電盤を固定できそうだ。

前回へ  次回へ

(Visited 329 times, 1 visits today)
スポンサーリンク

シェアする

フォローする